2018年05月23日

【介護の仕事をスタートする際の注意点】資格取得の必要性や夜勤の有無、給与ややりがいについて

介護士

介護の仕事というと専門的な資格が必要と思われがちですが、決してそんなことはありません。

もちろん介護の現場で働くには、介護や看護、リハビリなどに関する資格を取得しているのに越したことはありませんが、現在では多くの介護施設や介護事業所が「無資格でもOK」という条件で求人募集をおこなっています。これは、それだけ切実に介護の現場で人材が必要とされているということでもあります。

都市部では介護職の有効求人倍率が5倍以上

厚生労働省が2018年1月に発表した資料によれば、2017年における全職業の有効求人倍率の平均は1.50倍。しかし、介護サービスの分野の有効求人倍率の全国平均は3.57倍であり、さらに東京などの都市部においては5倍を超えることも報告されています。有効求人倍率とは、大まかにいえば「公共職業安定所(ハローワーク)で仕事を探すひと1人に対して、何人分の求人があるかを示す指標」ですが、この指標によれば、都市部では仕事を探すひと1人に対して介護職ならば5人分以上の求人があることになります。

一方、2015年に公益財団法人 介護労働安定センターがおこなった調査では、施設などの介護職員においては約4割(40.4%)が、訪問介護員においては8割近く(77.1%)がパートやアルバイト、契約社員などの非正規雇用の職員であることも報告されており、介護現場が非正規雇用の職員に支えられていることがわかります。こうした非正規雇用の職員は採用時に無資格であるケースも多くみられますが、そのまま資格を取得せずに介護現場で何年も働きつづける人も珍しくありません。

また近年では、本人が資格の取得を希望した場合や、就業先から「資格を取得してほしい」という要請があった場合には、介護施設や介護事業所、人材派遣会社などが、職員の資格取得をサポートするケースも増えています。

夜勤はしなければならないの?

悩む女性

介護の仕事に「過酷」というイメージがある理由のひとつに、夜勤があげられます。ただし、夜勤は介護職員が必ずしなければならないものではありません。

たとえば、デイサービスデイケアといった通所型の施設ならば、介護サービスをおこなうのは基本的に日中のみであるため、介護現場での仕事は夕方には終わることになります。また、特別養護老人ホーム(特養)有料老人ホーム介護老人保健施設(老健)などの入居型の施設であっても、パートなどの非正規雇用であれば、「日勤のみ」という形で職員を募集している施設も少なくありません。

さらに訪問介護サービスの場合は、利用者の自宅を訪問してサービスをおこなうため、非正規雇用の登録ヘルパーについては現場への直行直帰のシステムを採用している事業所がほとんどであり、「週に1回、1日1時間」など短時間の勤務が可能なケースも多くみられます。逆に入居型の施設における夜勤は時給が高額であったり、夜勤手当がプラスされたりすることから、効率よく稼ぎたいなどの理由で夜勤のみの仕事(夜勤専従)を選ぶ非正規雇用のスタッフもいます。

一方、正職員の場合は就業する施設によって夜勤の有無が異なります。たとえば上記のようなデイサービスやデイケアであれば、施設が稼働しているのは日中のみであるため、夜勤や泊まりでの勤務はまず無いといえますが、正規雇用の職員においては、利用者が帰ったあとでさまざまな事務作業などをおこなうケースも多く、「介護現場の仕事が終了=帰宅」というわけではありません。また、老人ホームなどの入居型施設の場合は、24時間施設が稼働している状態であるため、正職員が交代で夜勤をおこなうケースがほとんどです。

なお、多くの施設では「朝~夕方」と「夕方~朝」の2交代制の勤務を採用していますが、夜勤には仮眠時間が含まれることなどから、日勤よりも労働時間が長くなるケースが多いようです。そのため、正社員を前提として介護の仕事を探す場合には、残業の量や夜勤の割合を確認し、自分が無理せず働ける職場を選ぶことが大切といえるでしょう。

介護の仕事に役立つ資格は?

冒頭にも述べたように、介護の仕事は無資格でもおこなうことができますが、資格を取得することによって選べる仕事の幅が広がるのはもちろんのこと、資格の有無が給与の金額に関係するのも事実です。こうしたことを考えると、介護の現場で長期間働くことを希望する人の場合は、下記のような資格を取得しておいたほうがさまざまな面で有利といえます。

【介護職員初任者研修】
介護の現場で働く人が、最初に取得することが多い資格として知られるのが介護職員初任者研修です。これは、かつてのホームヘルパー2級(訪問介護員養成研修2級課程)に相当する資格であり、介護職の入り口にあたる資格と位置づけられています。

研修の内容は、講義が約40時間と実技が約90時間の計130時間となっており、受講者は介護をおこなう際に必要となる基本的な知識や技術、介護に対する考え方などを学ぶことになります。なお同研修における講義の部分は通信講座などでも受講することができますが、実技(スクーリング)の部分については養成校などに通って講義を受ける必要があります。また、同資格を取得するには、研修修了後におこなわれる筆記試験に合格しなければなりません。

【介護職員実務者研修】
一方、介護職員初任者研修のワンランク上の資格として位置づけられるのが、以前のホームヘルパー1級や介護職員基礎研修にあたる介護職員実務者研修です。

介護職員実務者研修の研修時間は計450時間と初任者研修よりもかなり長くなっており、受講者は介護の基本的な知識や技能に加えて、たん吸引や経管栄養といった介護職員がおこなえる医療的ケアについても学ぶことになります。また実務者研修の資格を取得すると、訪問介護事業所におけるサービス提供者になることができるなどのメリットがあるほか、同資格の取得は介護福祉士の国家試験を受験するためには欠かせないものであるため、介護職におけるキャリアアップを目指す人は、こちらの資格取得を目指したほうがよいかもしれません。

なお介護職員実務者研修も初任者研修とおなじく、資格を取得するためには研修が終わった後におこなわれる修了試験に合格する必要があります。

【助成制度】
介護職員初任者研修ならびに実務者研修については、一定の要件を満たした場合、ハローワークや自治体による授業料などの助成を受けられる場合があります。詳しくは居住する市区町村やハローワークの窓口にお問い合わせください。

賃金の低さは改善されつつあるが…

紙幣と硬貨

介護職における賃金の低さは、介護人材が不足している理由としてもたびたび指摘されていることから、政府は2017年4月に介護職員の月額給与を平均1万円程度アップさせることを目的とした臨時の介護報酬改定をおこないました。

厚生労働省が2018年におこなった調査では、この介護報酬改定による「処遇改善加算」を取得した事業所では、常勤で働く介護職員の平均月額給与が前年に比べて1万3660円アップし、29万7450円となったことが報告されています。しかし多少の改善はあったとはいえ、介護職の月給の平均は2016年における全産業の平均月額給与(40万8千円・2016年)よりも約10万円低く、介護職の給与は決して高いとはいえない現状もあります。

また2017年12月、さらなる介護職員の処遇改善策として、政府は勤続10年以上の介護福祉士の賃金を月額平均8万円程度アップする施策を、2019年10月からスタートする方針を示しました。しかし同施策については、賃金アップの対象となる介護職員がごく一部に限られることや、初任給をアップしなければ介護人材が施設や事業所に集まらないなどの問題点も指摘されています。

介護職のやりがいや魅力とは

上記のように給与において厳しい面がある一方で、仕事にやりがいや魅力を感じ、いきいきと働いている人が多いのも介護職の大きな特徴といえます。

上記の公益財団法人 介護労働安定センターによる調査では、約半数(52.4%)の介護職員が現在の仕事を選んだ理由として「働きがいのある仕事だと思った」ことをあげており、約3割(31.5%)の人が「人の役に立ちたいから」と回答していました。たしかに数ある仕事のなかでも、介護職ほどはっきりと人の役に立っていることを実感できる仕事はほかにないかもしれません。自分のサポートにより、利用者が「できなかったことができる」ようになったり、利用者の「生活への満足度」や「幸福度」が上がったりするのを実感できるのは介護職の醍醐味といえます。

また、利用者とのコミュニケーションも介護職の魅力のひとつです。もちろん介護施設や訪問介護の利用者のなかには気難しいお年寄りもいますが、多くの高齢者は介護職員に対して親しみや感謝を持って接してくれます。「ありがとう」「助かった」「嬉しい」といった利用者の心からの言葉は、介護職員の疲れを吹き飛ばすほどの喜びをもたらしてくれる場合もありますし、高齢者とのゆったりとした会話に介護スタッフが癒やされることもあります。

さらに介護の仕事の魅力として、職員同士の連帯感もあげられます。介護施設などの仕事においては職員同士の協力体制は欠かせないものですが、人間関係が良好な施設では、こうしたチームワークもスタッフのモチベーションを高める要素となります。そのため介護の仕事を探す際には、職場の雰囲気や職員同士の人間関係をチェックすることも重要といえるでしょう。

まずはパートやアルバイトで介護現場を体験することから

介護はやりがいや魅力の多い仕事といえますが、近年では「人の役に立ちたい」などの善意につけこみ、企業が低賃金などの悪条件で労働者を使うやりがい搾取も社会問題となっています。たとえば施設などの介護現場では、希望を胸に抱いて正職員として入社した若者が、当初は張り切って仕事に取り組むものの、業務の過酷さなどから短い期間で燃え尽きてしまい退職するといったケースも多く見られます。

そのため介護施設においては、正職員よりもマイペースで仕事ができる非正規雇用の職員に勤続年数が長いベテランが多いという現象も珍しくありません。こうした「やりがい搾取」の犠牲にならないためには、介護職は決してボランティアではないことを自覚したうえで、勤務の内容や給与などの条件をしっかり検討して就業先を選ぶことが重要といえます。

一方、介護に直接かかわるポジションではなくても、送迎ドライバーや調理などの仕事でシニア層が多く活躍しているのも介護施設の大きな特徴です。また介護職であってもパートやアルバイトの場合は、付き添いや見守りといった身体的負担の少ない業務のみを担当するケースも多くみられます。こうしたことを考えると、これから介護の仕事をはじめようという人は、いきなりハードな現場を選ぶのではなく、パートやアルバイトなどでまずは介護現場の雰囲気を体験してから、じっくりと自分に合った施設や事業所を探すのが、無理なく介護現場で働く上で良い方法といえるかもしれませんね。

▼参考資料
・介護人材確保対策 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000175117.pdf

・福祉担う人材の確保策 「やりがい」伝える工夫を 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180427/ddm/005/070/167000c

・平成28年度「介護労働実態調査」の結果 公益財団法人 介護労働安定センター
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h28_chousa_kekka.pdf

・介護職員初任者研修について 高知県
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060101/2018013100417.html

・実務者研修 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf

・「介護職員初任者研修」、「実務者研修」の受講費を助成 流山市
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/life/1000764/1000765/1000772.html

・平成29年度介護報酬改定について 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000167237.pdf

・介護職月給1万3千円増も、全産業平均を10万円下回る 朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL444693L44UTFK006.html

・中堅介護福祉士の月給8万円増へ 福祉新聞WEB
http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/17893

・やりがい搾取とは 人事労務用語Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%84%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%84%E6%90%BE%E5%8F%96

介護エージェント運営事務局