2017年04月06日

東京・豊島区が2018年度から「混合介護」のモデル事業をスタート…ヘルパーに「指名料」の導入も検討

介護士

2017年2月、東京・豊島区が介護保険によるサービスと保険外のサービスを組み合わせた混合介護のモデル事業を、2018年度からスタートすることを正式に決定しました。

これは国が認定する国家戦略特区(※)の制度を活用したプランであり、同事業においては、利用者宅を訪問する介護職員(訪問介護員)に「指名料」を導入することも検討されているそうです。

※国家戦略特区…経済活性化のために地域限定で規制や制度を改革し、その効果を検証するために国から指定された特別な区域

ヘルパーの「指名料」や時間帯による料金の増減も検討

上記の「指名料」制度は、利用者が1時間あたり500円程度を追加で負担するかわりに、看護師やあん摩マッサージ指圧師といった医療・健康に関する資格や、外国語や方言に関する技能などを持つ職員を指名できるシステムとのこと。

また、このモデル事業においては、ヘルパーの需要が集中する時間帯には料金を上乗せしたり、逆に需要の少ない時間帯には料金を割り引くなど、時間帯に応じてサービスの価格を柔軟に設定することも検討されており、東京都と豊島区ではこうしたプランを職員の処遇改善や不足している介護人材の確保にもつなげたい考えとのことです。

政府の会議でも混合介護の導入には賛否両論の意見が

こうしたプランが推進される一方で、混合介護そのものについては賛否両論の意見が出ていることも報じられています。

2017年2月に東京都で開かれた政府の規制改革推進会議では、事業者側の「多様なサービスの提供が職員の処遇改善につながる」という主張に対し、厚生労働省が「(混合介護の導入によって)高齢者が不当に高い利用料を取られる恐れがある」として慎重な姿勢を見せるなど、議論が平行線をたどる場面も見られたといいます。

介護サービスの効率化につながる一方、料金設定に対する懸念も

混合介護を導入するメリットとしては、たとえばこれまで介護保険サービスの利用者に限定されていた食事や洗濯といったサービスの提供範囲を、利用者と同居する家族にまで広げられることなどがあげられます。このように生活支援のサービスを、訪問介護員が利用者とその家族にまとめて提供できるようになれば、たしかに介護サービスが現在よりも効率化される場面は多くなるかもしれません。

その一方で、介護保険と保険外のサービスを一体化して提供できるようになることは、サービス料金の設定が事業者側に委ねられることにもつながるため、利用者が不当に高い料金を払わせられることや、所得の低い人が必要なサービスを受けられなくなることなどが懸念されます。そういった意味で今回のモデル事業の実施は、こうした問題点をいかにクリアしていくかということが問われる重要な機会ともいえるでしょう。

▼参考資料
・混合介護のモデル事業18年度から 東京都豊島区 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE08H02_Y7A200C1PP8000/

・混合介護 都と豊島区が指名料検討 1時間500円程度 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20170210/k00/00m/040/130000c

・ヘルパーの指名料や忙しい時間帯の上乗せ料金を提案―東京都 ケアマネジメントオンライン
http://www.caremanagement.jp/?action_news_detail=true&storyid=14138&view=all

・第15回東京圏国家戦略特別区域会議 東京都提出資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/170210goudoukuikikaigi/shiryou3.pdf

・混合介護で討論会 「職員の待遇改善」「高額利用料の恐れ」 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H34_R20C17A2PP8000/

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