2017年03月30日

高齢者をサポートする信用金庫の取り組み…財産の保護や詐欺被害防止の対策も

振り込め詐欺

近年、高齢者を狙った特殊詐欺や、親族や第三者による高齢者の資産の不正流用が問題となっています。

2017年3月、こうした被害から高齢者を保護することを目的としたサービスを、東京と岡山の信用金庫がスタートしたことが相次いで報じられました。

高齢者の財産を保護しつつ日常使うお金の引き出しはスムーズに

東京・神奈川で店舗を展開する城南信用金庫では、認知症の高齢者の財産を保護しつつ、必要な際はスムーズにお金を引き出せる専用口座の取り扱いを全国で初めて開始したとのこと。この「城南成年後見サポート口座」は2種類の預金口座で構成されており、生活費などの小口の資金を管理する口座と、普段は使わない多額の資金を管理する口座を分けているのが特徴です。

たとえば、小口資金を管理する口座ではキャッシュカードの発行も可能で簡単にお金を引き出すことができますが、大口資金用の口座は複数の後見人の印鑑がなければ払い戻せないシステムになっているとのこと。また生活費などへの使用を簡易にするため、大口の口座から毎月一定額を小口の口座に振り替えられるようにするサービスもおこなうそうです。

70歳以上の預金者を対象としたATMでの振り込み制限

一方、岡山県内の全8信用金庫ではATMを介した特殊詐欺を防ぐため、2017年の4月3日から、過去3年のあいだにキャッシュカードによる振り込み実績のない70歳以上の預金者を対象として、ATMからの振り込みをできなくするという対策が実施されます。

これは近年、「現金が受け取れる」などと言って高齢者をATMに誘導し、逆に現金を振り込ませる「還付金詐欺」が全国で多発していることを受けてのもので、今後70歳に達する人についても、毎年2月末の時点で同様の制限をおこなう予定だそうです。ただし信用金庫の窓口での振り込みは従来どおり可能であり、申し込めば制限の解除もできるとのことです。

これまで、認知症などによって判断力が低下した人の財産を保護・管理する際には後見制度支援信託という制度がおもに利用されてきましたが、同制度ではお金を払い戻す際に家庭裁判所の許可が必要となるため、内閣府の委員会が同制度に代わる商品の開発を金融業界に要請していたとのことです。一方、高齢者を狙う特殊詐欺についても、手口が年々巧妙化していることなどから、被害を防ぐための対策が政府や金融機関においては急務となっていました。

今後、国内においては高齢化の進展に伴い認知症患者の増加も予測されていますが、金融機関においては高齢者本人の意思を尊重しつつ、本人の判断力が低下した際にどう備えるかというサポートやサービスがより重要となっていくのかもしれません。

▼参考資料
・城南信金、認知症高齢者の財産保護で専用口座 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H3V_R00C17A3EE8000/

・70歳以上のATM振り込み制限 詐欺対策で4月から県内8信金 山陽新聞
http://www.sanyonews.jp/article/495271

・後見制度において利用する信託の概要 家庭裁判所
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/210034.pdf

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