2016年01月06日

老人ホーム入居という選択が、家族としてのつながりを深める一つのきっかけに ~介護する家族が苦悩しないために考えてほしいこと~

株式会社エイジプラス 田中宏信さん

【田中宏信さん】
株式会社エイジプラス 東京支社長 関東有料老人ホーム紹介センター 主任相談員
進行性の難病を発症した母親の在宅介護や、その後の父親の施設探し等を通じて得たさまざまな介護経験を基に、現在は有料老人ホーム紹介事業に携わる。

『シリーズ・認知症』では認知症の基本的な症状から、介護をするご家族へ向けたサポートまでをお送りしてきました。今回は、認知症の人を介護するご家族にとってのひとつの選択肢である「高齢者施設への入居」について『関東有料老人ホーム紹介センター』の主任相談員である田中宏信さんにお話を伺いました。田中さんはさまざまな介護の悩みをもつ方の相談に乗りながら、その方に合った高齢者施設探しを行っていらっしゃいます。今回、認知症の人を介護するご家族のお話から、ご自身の経験を踏まえたうえでの「介護をしているすべての方へ」向けたお話まで、語っていただきました。

どのような人が相談に来るのでしょうか

認知症の家族を在宅介護している人は、世の中にたくさんいらっしゃいます。その中で、我々のところに相談をしに来る人はどういう人たちかというと、その一つはまず、家庭環境として「介護をする人が一人しかいない場合」です。たとえば、親一人子一人で、認知症になってしまった母親を息子さんが介護しているようなケースですね。

あとは、普通に家族みんなで介護をしているけれども、認知症の問題行動が出始めたことで家族の手に負えなくなって、相談に来るというケースもあります。特に認知症に限らなくても、在宅介護が難しい段階になって、施設を探す相談に来る方が多いです。だから基本、「認知症だから施設に入れる」というよりも、「問題となるような症状」が出てきたことで、施設を検討するご家族が多いと思います。その「問題となるような症状」というのは、たとえば「徘徊」、「暴力行為」とか、「不潔行動」というようなことですね。

本当に介護が難しくなるまでは在宅で、という人が多いのですね

そうなる理由としては、外部の人間から見て「認知症の症状が出ているのでは」と感じる段階では、まだその家族が「自分の父親、母親が認知症である」ことを認められる人が少ないというのがあると思います。これはたぶん、自分の親に置き換えるとわかると思いますが、気持ち的な面で認めたくないんですよね。

だから、まわりの人から「あなたのお母さんは認知症なんじゃないか」と言われたとしても、「そんなことはない」となってしまいます。さらに言うと、そういう時ってまだ症状も高齢者特有の物忘れみたいな感じだから、あまり「認知症」と決めつけて考えないんですよね。「さっき言ったのに何で覚えていないの?」というレベルの話として家族は捉えますから。

やっぱり「認知症」というものを気持ちの上で顕在化させるまでには時間がかかると思います。そうなると必然的に「施設を探す」という行動も在宅で介護をするのが限界になってから、という流れになりますよね。

「問題となる行動」が起こる前に施設を検討するべきでしょうか

株式会社エイジプラス 田中宏信さん前もって施設を探すことは本来理想です。ただ、「老人ホームを探す」ことは、結局ネガティブな部分があるんですよね。ネガティブなことは、人間後回しにしてしまいます。ギリギリにならないとやらなかったり。だから、「もし親の介護が必要になったときのために」と考えていたとしても、実際は症状が出てから探し出す人のほうが多いですね。

たとえばお母さんが認知症かもしれないと思っても、すぐに病院に連れて行って、何か治療を、というステップがすごく難しいことであったりします。なぜかというと、当の本人が「自分は認知症だ」なんて思っていないわけですから。病院に行くことや、まして「施設に入る」なんて考えられないと思っていますよね。だから最終的に「施設に入居する」という時も、入居までを一連のストーリーとしてシナリオを作って、そのシナリオ通りに動いて入居まで持っていくことが必要になる場合も多いです。

在宅で介護をする人が追いつめられてしまうケースもありますが…

在宅介護と一言で言っても、「男性が介護するのか」、「女性が介護するのか」というので、全然違う場合が多いですし、どちらかというと女性よりも男性のほうが、追いつめられてしまう人が多いように感じます。

女性は子育てを経験していますよね。子育ては自分の思い通りにいかないことも多いし、ストレスもかかる。でも子育ての経験で、息を抜くことを覚えるんです。だからそれを介護に切り替えたときにも、上手に息抜きをすることができる人が多いと思います。でも男性は、「仕事」として捉えてしまうから「何時から何時まではこれをやる」、と1日のタイムスケジュールをきっちり決めて、それで行動する。だから、息を抜けないんですよね。特に定年退職した男性が奥さんの介護をするときというのは、完全に仕事になっている場合が多いです。

また例えば、それが息子さんだった場合、介護のために仕事を辞めざるを得ない状況になったときには、生活費の問題も出てきます。最初は預貯金、次は両親の年金での生活、その年金で自分もご飯を食べながら、お父さんお母さんの介護をしていかなければならない状況になってしまうこともあります。そうやって頑張りすぎて追いつめられると、「自分の生活」を取り戻せなくなってしまう。その状況が、最悪な結果を招いてしまうこともあります。

我々からすると、そうなる前に相談してくれれば、何らかの解決方法を一緒に探せたのになと思うわけです。だから、介護を苦にした無理心中や自殺のニュースを見るとすごく悔しいです。何故そのようになる前に電話をかけてくれなかったのかなって。どうすればいいのかという方法も知らないまま、結局無理の上に無理を重ねて、自分の生活が追いつめられて、最後はどうしようもなく追い詰められて、という結果だと思いますから。私がそれをやりかけたからわかるんですよね。

親の介護とか家族の介護はネガティブだから、「まわりに知られたくないと」いう意識も起きると思います。近所にばれたくないとか。とくに年配の60代~70代の男性で、自分の奥さんが介護状態なのを近所の人に知られたくないというケースはたくさんあります。女性は意外と相談できるけど、男性は自分のプライドがあるから、相談できないんですよね。

そのため最近では、男性介護者を支援する団体などもあります。一人で悩まず、そういったところで話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になると思います。

参考:『男性介護者を支援する会』
2009年3月に発足。男性介護者と支援者の全国的なネットワークづくりを進めています。男性介護者の会や支援活動の交流及び情報交換の促進と、総合的な家族介護者支援についての調査研究や政策提言を行っています。
http://dansei-kaigo.jp/

母親の介護

私の母親は『進行性核上性麻痺』というパーキンソン関連の特定疾患、いわゆる「難病」でした。発症して2年経ってからやっと診断が下りましたが、診断が下りた後はその病気のことだけを死ぬほど勉強しましたね。それでわかったのは、身体の運動機能がどんどんなくなって、最後は眼球すらも動かなくなってしまう病気だということ。難病指定されているので治療方法もありません。そのときの主治医にも言われたのが、「だいだい発症して5年でお亡くなりになります」ということでした。

母親の介護を始めてからしばらくして介護保険がスタートしたので、当時は「介護保険とは?」というところから、自分で本をひっぱり出してきて調べましたね。でもまだよくわからない状態で介護をしていたので、毎日が手さぐりの状態でした。当時は、名古屋で仕事をしていたので、実家のある大阪に車で通って介護をする日々を送っていました。睡眠時間もほとんどないまま仕事と介護のために名古屋、大阪を往復する毎日で、正直精神的にも追いつめられて鬱状態になることもありました。

実際、今こうした仕事をしているのは、その時の自分と同じ状況にいる人の助けになりたいという気持ちがあるからです。そういう人は崖っぷちのギリギリのところで堪えているだけなので、どれだけ我々がサポートできるか、ということはいつも考えています。

「家族として」笑顔で過ごしてほしい

株式会社エイジプラス 田中宏信さん私が良く言うのは、「ゴールのないマラソンを、最後まで笑顔でずっと走り続けることができるのであれば、在宅介護をやってください。」ということです。「苦しくなって、笑顔がなくなりご家族にきつい言葉をかけてしまう自分が嫌になるくらいなら、その前に老人ホームを探しましょうね」、ということなんです、単純に。

本人としては、老人ホームに入りたくないと思います。たくさんの思い出がある家から離れて、最後に見ず知らずの人たちと一緒に暮らす、そのような生活は誰だって嫌だと思います。本来はどれだけ不便で、段差とかがあっても慣れ親しんだ「自分の家」が一番落ち着くじゃないですか。でも、そこで老人ホームという選択をしなければいけないということは、本人が家で暮らすことに「何かしらの問題」が生じて、家族も本来は家で過ごさせてあげたいけれども、「それができないとき」なんです。たとえば、一人で料理をしていたときに、火をつけていたのを忘れて火事になってしまった、というケースもあります。いつそうなるかわからない状況になってしまったら、本人や家族の身の安全が確保できませんよね。

つまり、「家族みんなが笑顔に戻り、安全に暮らせるように老人ホームを選ぶ」ということです。やっぱりそこには妥協は必要だと思います。自分たちの意地を通せるのであれば通したらいいけど、それを頑張りすぎて何か危険なことが起こってからでは遅いですから。

そこまでいかなくても、たとえば認知症のお母さんを介護していて、だんだん「何回言ったらわかるんだよ」と自分が暴言を吐くようになった。そのうち暴力行為にまで発展する、それは外からみたら高齢者に対する虐待ですよね。頑張るのは良いんだけど、そこには笑顔がない。「ゴールのないマラソン」を笑顔で走れないというのなら、そこは何かに頼ってでも良いから、笑顔を取り戻してほしいと思います。

そのための選択肢の一つとして「老人ホームに入る」ということがあると考えていただければ良いと思います。ご本人もご家族も笑顔を取り戻して、もう一度「家族として過ごすために」入居を決める、という考えです。そういう考えが本来必要で、すごく大事だと思うんですよね。私自身、100%出来ているとは言えませんが、介護をしている人の話を聞いてあげて、たとえば老人ホームに入らなかったとしても、何かしらの方法をアドバイスすることはできると思っています。我々の知恵をお貸しすることはできるし、精神状態をちょっとだけ元に戻して元気になって頂くだけでも、だいぶ違いますよね。

介護なんて、最初はみんな素人です。完璧に未知の世界なわけで、それは怖いし、普通に生きていて老人ホームを探す経験なんてしたことないですよね。そこに関しては誰でも、やっぱり不安だらけなわけです。そういう人たちの道筋を立てる、という言い方をすると少し偉そうな言い方になってしまいますが、「こういう選択肢がありますよ」とお伝えするだけでも、かなり希望が見えてくるはずです。結果として、何かしらの方法が見つかれば良いと思うんです。そこがすごく重要なことだと思っているから、そこに関しての知識を出し惜しみするつもりはまったくないですね。

だから今介護で悩んでいる方は、どうかひとりで悩まずにまずは気軽な気持ちで相談をしてほしいと思います。私はもちろん、経験や知識が豊富な相談員が皆さまのお電話をお待ちしております。

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関東・関西・東海・九州の有料老人ホーム紹介センターでは、全国約4,500件の加盟ホーム(平成25年11月現在)の中から、お客様の経済、身体的状況、様々なご要望を考慮して、最適で安心してお暮しいただけるホームをご紹介しています。「有料老人ホームとは何かもよくわからない」「たくさんのホームを見学したいけれど、まわりきれない」などの介護に関してのお悩みを持つ方へ向けた無料紹介所です。(運営会社:株式会社エイジプラス

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